「自分の気持ちと向き合うということばの意味をとり間違えていた」
デイケアではこのような発言を時々耳にすることがあります。
書店に行けば、心理学や自己啓発の本であふれている現在。
確かに、本を読んで救われた、という方も多いでしょう。
でも、苦しい時、すがるように目にしたことばを、その時の自分に都合の良いように
とり違えてしまう事も少なくないのではないでしょうか?
ところが、デイケアの参加が進むとこんな振り返りのことばが出てきます。
「“つらい”という気持ちには気付いていたけれど、気付いただけで
“自分は大丈夫だ、大丈夫だ”と言い聞かせ、結局はふたをしてしまっていた」
ふたをし続けたらいつしかつらさは見えなくなったけれど、
その代わり気分が落ち込んだり、体調が悪くなったり・・・
ふたをしても、見えなくても、つらい気持ちはその方の中に存在し続け、
別の形でSOSを出していたのかもしれません。
メンバーの皆さんは日々気付きがあるようです。
例えば、「自分と向き合う」ということばの意味は、“つらい”気持ちに気付くだけでなく、
それを認め、どうして“つらい”のか考えていく事だと。
そこが明確になってくると、「では、どうしたらいいか?」も見えてきます。
自分と向き合うのは、時に、勇気が必要な作業となるでしょう。
そんな時、一人で立ち向かう事もできますが、
同じ方向を見て頑張っている仲間と共に、向き合っていく事もできます。
もちろん、スタッフが一緒に考える事もできます。
一人だけでなく、皆で考える事で、思いもよらない解決方法が見つかる事もあります。
つらく、苦しい時だからこそ、皆で支え合うという選択肢も有効なのかもしれません。